歯周病治療
歯周病治療
日本では18歳以上の80%以上が歯周病にかかっていると言われています。歯周病は歯茎だけの病気と思われがちですが、実は歯を支える骨(歯槽骨)が減る病気です。虫歯でないキレイな歯でも、歯周病によって失うことになります。
歯周病は、唾液量のミネラル成分が多かったり、磨き残しによって歯垢が石灰化した歯石に細菌が付着し、細菌に触れている歯ぐきが炎症を起こし、骨がそこから逃げるように減ります。唾液のミネラル成分が多いと再石灰化が促進されて虫歯になりにくいため、一般的に歯周病リスクが高い人は虫歯リスクが低く、虫歯リスクが高い人は歯周病リスクが低めになります。
したがって、今まで虫歯にならず、歯科医院に通う機会が無かった人が、症状が出た時には歯周病が進行していたというケースが多いです。
歯周病の発症や進行にに関与している細菌は800種類以上ありますが、特に注意が必要なものが「レッドコンプレックス」と呼ばれる3種類の細菌です。
中でもP.g菌が最も病原性の高い細菌だと言われています。
P.g菌は血液をエサにする特徴があり、歯ぐきから出血があると数百倍から数万倍にまで増殖します。また、P.g菌は4mm以上の歯周ポケットなどの酸素が無い場所を好むので、より活発になり骨が減っていきます。P.g菌が直接歯周組織を悪化させるというよりは、P.g菌には免疫機能を抑制する働きがあることで人の免疫機能が低下し、口の中の常在菌のバランスを崩すことで、歯周病に関与する細菌の割合が増えて歯周病を悪化させるという考え方が最も新しい考え方です。
P.g菌が歯垢の中で増殖することは明確なので、歯周病の発症や進行を防ぐには、プラークの取り残しをできるだけ少なくする「プラークコントロール」が重要です。
多くの人は、虫歯や歯周病の治療目的は痛みを取るためや、よく噛めるようにするためと考えると思いますが、それ以上に大事な目的があります。
それは、患者様自身の力でプラークコントロールが容易に出来る環境を作ることにあります。虫歯の穴があったり、歯ぐきに腫れがあったり、歯石があったりすると歯垢を取り除くことが困難になります。虫歯も歯周病も生活習慣病であり、予防するためにはホームケアでのプラークコントロールがきちんとできるかどうかが鍵を握るのです。
歯科医師は穴を塞いだりよく噛める環境を作ることで歯垢を溜まりにくくし、歯科衛生士は歯ぐきの腫れの原因である歯石を取り除く歯周病治療や、正しいプラークコントロールが出来るように歯磨き指導を行って、目的である患者様のセルフコントロールの確立を目指して治療を行います。
歯茎に炎症が起き、歯との間「歯周ポケット」が深くなります。痛みはまだありませんが、ブラッシング時に出血することがあります。
炎症が深まり、歯周病菌が顎の骨にまで達しています。歯周ポケットが深くなり、歯はグラグラしはじめます。
顎の骨が半分以上溶けています。歯周ポケットがかなり深くなり、歯は更にグラグラの状態になります。ここまでくると、最終的に歯は抜け落ちてしまいます。
歯周病は、歯を失うだけでなく体全体の病気を引き起こすとも言われています。例えば糖尿病を患っていると歯周病にかかるリスクが高まることや、歯周病の悪化と糖尿病の悪化には相関関係があることがわかっています。
血液中の歯周病菌は子宮の筋肉に影響を与えてしまうことがあり、早産や低体重児出産を誘発することがあると言われています。
レントゲン検査で骨の厚みを測り、そして歯周ポケット(歯と歯ぐきの間の溝の深さ)を測ります。3mm程度までで出血しない状態が健康な歯肉と診断されます。
検査結果をもとにして歯垢(プラーク)、歯石の除去を行います。(スケーリング&ルートプレーニング)最初は歯ぐきより上の部分の見えている歯石を除去します。歯ぐきの腫れが引いて新たに見えてきた深い歯石を除去する治療を何度か繰り返します。
歯や根面の歯垢や歯石が除去されたことで、歯茎の状態が改善され歯周ポケットの深さが3mm程度まで維持されればメインテンスに移行します。改善が足りなければ、再治療を行ったり外科処置へと移行します。
基本治療の後も、歯と歯肉の間のポケットの深さが改善されず、ポケット内に細菌が生息し、歯磨きで除去できない場合は、外科的に歯周ポケットの深さを減少させる手術があります。そしてポケットが改善されればメインテナンスに移行します。
歯周病の再発防止と、健康状態の維持のためには、定期的に検査と予防処置を行うことでプラークコントロールをしていくことが重要となります。
では、どのようにプラークコントロールを行っていけばいいのでしょうか。
この二つが成り立ってはじめて歯周病は良い方向に向かっていきます。
歯周病はSilent disease(サイレント ディジーズ)と呼ばれ、痛みもなく静かに進行していくことが多いため、気付いたときにはかなり症状が重くなっているケースも少なくありません。また、毎日歯みがきをしているからといって安心することはできません。初期段階では目立った自覚症状が少ないため、毎日のセルフケア以外にも定期的な検診が大切です。
歯周病予防の第一歩は、的確なセルフチェックからはじまります。継続的にセルフチェックを行い、ひとつでも当てはまるものがある場合は、できるだけ早い時期の検診をおすすめしています。
歯茎の腫れや出血は、歯に原因があるケースもあり断定はできませんが、歯周病の初期段階によく見られる症状です。歯周病は、腫れや出血などの自覚症状が出る活動期と自覚症状が治る静止期があります。一般的に体の抵抗力の強いときに静止期になり、抵抗力が弱った頃に活動を再開し、症状が現れてきます。この活動期と静止期が繰り返されることで、口腔ケアや検診の機会を逸してしまいがちですが、症状は着実に進行してしまいます。腫れの症状が小さいからといって決して油断はせずに定期検診をしましょう。
口臭は自分自身ではなかなか気付きにくい症状です。そのため、突然人から指摘されてショックを受けたという方も多いのではないでしょうか。口臭の種類には、「生理的口臭」「病的口臭」「外因的口臭」「内因的口臭」があり、そのうち「病的口臭」の原因のひとつとして歯周病があげられます。